旅するひとは、そう言ったのだ。

 
 
ただ進んでいくことに、

 
 
人は、

「去る」とか、

「出会う」とか、

名前をつける。

 
 

ものごとは、

刻々と進んでいくのに。

 
 

あっちに行くもの

そっちに行くもの。

 
 

生まれてから

今まで、

旅するひとは言った。

 
 

「行き着くところは、みんな同じ。

だけど、いっしょの道を行くものはいない。

 
 

もし、どこに行く道も見える窓があって、

のぞくことができたなら、

 
 
きっと、

美しい(えん)になっていると、私は思う」